特定社労士を取るべき本当の理由
社労士として登録した後、「特定社労士」の資格を取ろうかお考えの方もいると思います。
今回は特定社労士専任として活動する方以外(会社の一般的な手続き、相談を担う顧問社労士など)で、資格を取ろうか悩まれている方に私の経験談をお話します。
特定社労士になるまで
制度の詳しい説明は割愛しますが、特定社労士とは会社と従業員の労働法トラブルの解決のために、裁判ではなくADR(裁判外紛争解決手続)で行う場合に条件付きで代理人になれる資格です。
「特定社労士」を名乗るためには、
社労士登録者(有資格者ではダメ)が特別研修を受講
⇓
「紛争解決手続代理業務試験」に合格
⇓
社労士名簿に付記(登録)する
⇓
特定社労士として名乗れる
といった流れになります。
特定社労士の需要
昨今の状況を鑑みると、法律職の人数増加・SNSなどの発展により従業員側の権利行使がしやすい時代となっています。しかし労働法トラブルの解決を裁判に頼るだけでは時間も費用もかかるため、両者にとって良策ではありません。
そうなる前に和解をもって解決を図るわけですが、そこに労働法の専門知識をもつ社労士に白羽の矢が立ちました。要は弁護士の代理人業務の一部を得たことになります。
昨今の労働法トラブルの増加の影響で特定社労士の需要は高まっていると思いますが、まだまだ認知度は低いと思います。
会社と従業員の間でトラブルが起こる時というのは、従業員側が訴えを起こすことが大半です。会社側に顧問社労士がいて、その社労士が特定社労士であれば代理をする場合もあると思いますが、従業員側は一から代理人を探すことになります。
その時に特定社労士という言葉を知っていればいいのですが、圧倒的に弁護士の方が認知度があります。
さらに言えば、労働基準監督署や労働組合もありますし、例え従業員が特定社労士を知っていても紛争価額が120万円を超えれば社労士単独での受任ができなくなり必然的に他の選択をすることも少なくないと思います。
したがって需要は高まっているものの、特定社労士の地位・知名度をまだまだ高める必要性があると思います。
特定社労士は取った方がいい?
あくまで中小・零細企業の労務顧問として一般的な業務を行う方メインのお話となりますが、顧問先で労働法トラブルが起きた時に自分が特定社労士でなくても信頼のおける労働法専門の弁護士と知り合いになっておけばいいという手もあります(費用はかかりますが、、、)。
しかし私の考えとしては、それとは別に「特定社労士」は取った方がいいと思っています。
正確には、特定社労士として代理人になるためだけでなく特定社労士を取るための「紛争解決手続代理業務試験」の勉強をすることが必要だと思っています。
特定社労士を取るべき理由
社労士試験は選択式と択一式で科目内容は専門的な知識を問うものです。
労働法トラブルは労働法に拠りますがその根幹となるものは「民法」です。その民法を独学や他の資格を取るために勉強している方はいいのですが、社労士資格のみの方は民法に触れる機会があまりありません。
社労士も法律家と言われます。しかし社労士は専門性が高く、社労士試験でも専門知識メインで一般法である民法には触れません。
社労士としてレベル(ベース)アップするために根幹となる民法を勉強するべきというのが私の考えです。
特定社労士を取るための勉強をすれば必然的に民法に触れることになり、法律の基本的な考え方や論理的思考を学ぶことができます。
これが私が特定社労士を取った方がいいと思う最大の理由です。
おわりに
私も社労士登録して2年目に試験を受けました。合格率70%前後の試験で見事少ない方の30%に入ることができました。(笑)翌年には合格しましたが、、、
その後、約7年間、企業の顧問社労士として活動していましたがこの特定社労士を必要とする機会はありませんでした。運が良かったのか経験できずに終わったことが不運なのかわかりませんが、、、(労働組合が出てきたことはありますが、そのお話は別の機会にお話できればと思います)
しかし特定社労士という資格は将来性、また、過程の勉強も含めて社労士として取っておいて全く損のない資格だと私は思います。
試験対策として私が先輩社労士の方々に薦められ、私も利用した書籍をご紹介しておきますので、よろしければご覧ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。